失礼ながら「本当はプロ棋士というのは嘘で、旅人なのではないか…」というのが正直なところの感想でした。
女流棋士の世界一周相談会
タビゼミ主催者で世界一周経験者のシャンディさんに、女流棋士の北尾まどかさんが世界一周のルートを相談するということで同席してきました。
相談を受けたシャンディさんによるルートの提案や意見を、熱心にノートパソコンに打ち込んでは、疑問をぶつけているのを見て、私の興味は「プロの棋士が一体どうして世界一周なんだろう」と、その一点に集中したのです。
満面の笑みで返してくれました。
好奇心が旺盛で、もともと色んなものを見ることが好きだったという北尾さん。
今回の世界一周ではウランバートルにいる、将棋が強くなりそうな子にも会いに行きたいそうです。
「女流棋士北尾まどか」とは
北尾さんは将棋が大好きで、将棋を広めたい、多くの人に好きになってもらいたいと、子供や若い世代に将棋を教える教室を作り、株式会社ねこまどを立ち上げました。
そして子供でも親しみやすいようにと、あの有名な「どうぶつしょうぎ」を生み出します。
従前は、将棋を教える場というと、若い人や子供が行きにくい雰囲気であったり、初心者に一から教えることのできる指導者がいなかったりと、残念ながら機能しているところが多くなかったそうです。
「それなら、私がやろう!」と決意したそうで、さらにピースボートの水先案内人の経験まであるというので引き出しが多すぎます。
世界中の誰でもが遊べる「どうぶつしょうぎ」
私は知らなかったのですが、今は、中国はもちろん、世界中に将棋プレイヤーがいるとのことでした。
ただ、チェスや他のボードゲームよりも知名度は低く、その理由として挙げられるのが漢字です。
そこで、あのイラストで描かれた「どうぶつしょうぎ」が活躍します。
実際にポーランドでは、日本文化である将棋を子供たちに広めるツールとして使っているんだそうです。
将棋のあるところに北尾まどかあり
北尾さんは将棋に関わりそうな場所にとにかく飛んでいきます。
つい最近も、トルコのイスタンブールで連珠(れんじゅ:五目並べの競技版)の大会があった際に、参加者に対して将棋を紹介したり、連珠講師と共に現地の学校でイベントを開催したそうです。
またある時は、将棋対戦サイトを通して才能を見出した、当時高校生のポーランド人の女の子を自ら日本へ招待し、自宅にホームステイをさせ、指導をしました。
その後、彼女は女流棋士を目指し、2017年に日本で初めての外国人女流棋士となっています。
まさに全てが北尾さんの活動に繋がっているのです。
世界中で将棋を指したい
これから世界一周をしつつも、その国々で将棋を指したいと北尾さんは言います。
今はまだ漢字の壁があったり、世界大会への制約があるそうですが、私は北尾さんのフットワーク、人を巻き込む力と情熱で、そう遠くない将来に世界中で将棋を指す人が増え、各国で世界大会を楽しめるようになると確信しました。
ねこまど将棋教室の雰囲気
最後に、北尾さんの将棋教室にお邪魔してきました。
将棋教室というと会議室のような、少し薄暗い場所のイメージが私はありました。
この教室はまるでコワーキングスペースのように明るく、優しい色でまとめられた空間で、おしゃれの一言につきます。
ホワイトボードに将棋盤のプレートが貼っていなかったら、将棋教室だとは思わないでしょう。
私はそこで初めて「どうぶつしょうぎ」に挑戦してみましたが、進める方向に印がついているので分かりやすく、デザインもかわいい。
なにより面白くて、スマホでできるアプリをその後すぐにダウンロードしました。
「どうぶつしょうぎ」に興味をもった子供たちが、すぐ隣のテーブルで将棋にも触れることのできるこの教室環境から、未来の棋士が生まれるのだなと思いました。
また北尾さんは将棋と同じ頭脳戦であるボードゲームも大好きで、ボードゲーム屋さんに取って替われるくらいの数のコレクションを持っていました。
恐れ多くも今度何かで対戦させていただきたいとこっそり思っています。
もし旅先で、界一周している女流棋士に出会ったら、それは間違いなく北尾さんだと思っています。
だってそんな面白い人そうそういないから。帰ってこられるのが楽しみです。