建築学生的に石川県の金沢がオススメな理由
世界遺産や教会など有名な建築を見た時「かっこいいとは思うけど具体的にどこが評価されているか知りたい!もっとこの建物について知りたい!」
そんな風に思ったことはありませんか?
新旧の対比が特徴的なおもてなしの駅「金沢駅」
玄関口である金沢駅。
実は国内で唯一世界で最も美しい駅14選に選ばれており、しかも6位にラインクインしています。
雨や雪の多い金沢を訪れた人々に、そっと傘を差し出す金沢の方のおもてなしの心が表された「おもてなしドーム」、伝統芸能の街とも言われる金沢で昔から盛んだった能の鼓をモチーフとした「鼓門」が特徴です。
この近代的なデザインが美しいドームと伝統をモチーフにした門、2つの新旧の対比が、異色でもあり、素敵でもあり、駅に到着した時からすでに金沢のおもてなしの気持ちと、金沢らしさを感じられます。
安藤忠雄が建築した考える空間「西田幾太郎記念哲学館」
西田幾太郎記念哲学館は石川県出身の哲学者西田幾太郎さんと哲学にスポットを当てた施設。金沢駅から少し離れているため、比較的広めの敷地をゆっくり回りながら哲学について考えられます。
朝早めに行ったこともあり、数名のお客さんしか居らずゆっくりと見学できたこともあり、哲学に触れたことのない自分でも楽しめる展示内容でした。
建物の設計は世界の巨匠と言われる安藤忠雄さん。
哲学において大切な「考えること」を安藤さんは建物からも感じれるように設計しました。少し複雑な内部の動線や、所々に設けた工夫で訪れた方に考える機会を与えています。
安藤忠雄さんはよくコンクリート打ち放しの建物を設計する方です。
西田幾太郎記念哲学館でもそのコンクリートの美しさが、階段や吹き抜けなど随所随所で発揮されていました。
注意しておきたいのが西田幾太郎記念哲学館は金沢駅から少し離れており、最寄りの宇野気駅からも少し歩きます。
宇野気駅はSuicaなどの電子マネーが使えず、電車も1時間に1本と少ないため、計画的に時間に余裕を持って行くのがおススメです。
水盤が作り出す禅空間「鈴木大拙館」
鈴木大拙館は石川出身の仏教学者、鈴木大拙さんへの理解と、思想の場を作り出す目的の施設。
この建物のススメポイントは2つあります。
1つ目は設計者の谷口吉生さんはこの建物の敷地ではない、周りにある木などの風景をうまく取り込み(=借景といいます)、中と外の空間をつなぎ、より素敵な空間を作り出しています。
2つめは水盤による演出。
周りの景色と、水盤に映る景色、聞こえてくる自然の音により、時間の流れがゆっくりと感じられるような、まさに思想の空間を作り出していています。
公園のような美術館「金沢21世紀美術館」
InstagramなどのSNSで写真のようなプールに人が入っているようなトリックアートを見たことありませんか?
その写真は金沢21世紀美術館で撮られたものです。
設計者は妹島和世さん、西沢立衛さんの2人組ユニットであるSANAA。
たくさんの人が集まるような「まちに開かれた公園のような美術館」を目指して設計されました。
建物全体がガラス張りなため、内と外がつながっているような、中にいても外の気配を感じられます。
そのため一般的な静かに館内をめぐる美術館と違い、比較的ワイワイと楽しんだり、フォトジェニックなスポットが多いです。
エレベーターもなかなかユニーク。
美術館の至る所で空間を使って表現されたものがあったりと、お客さん参加型の美術館。
展示会の内容のチョイスも、個人的には美術に興味がない人も親しみやすいのが多いような気がします。
美術館の一般的な概念を壊して誰でも楽しめるような施設であり、美術館が得意でない人もきっと楽しめる場所になっています。
昔の趣を感じられる「ひがし茶屋街」と「主計町茶屋街」
金沢には有名な茶屋街が3つあります。
そのうちの1つ、ひがし茶屋街は重要伝統的建造物群保存地区になっており、全国的にも珍しい茶屋様式の町屋が残っており、江戸時代にタイムスリップしたように感じられます。
今でも和菓子屋や和風雑貨屋、伝統工業品を扱うお店やカフェが。
ひがし茶屋街の前を流れる浅野川を挟んだ向こうには主計町茶屋街(かずえまちちゃやがい)があります。
お昼は空開いている店が少なく、ひがし茶屋街よりもゆっくりと昔の街並みを楽しめます。
主計町茶屋街は夕暮れになると芸妓が奏でる三味線や太鼓の音、そして灯る淡い光により情緒あふれる雰囲気になりますので、夜もおすすめです。
現役建築学部生が解説する金沢のオススメスポットたちまとめ
以上、建築学部生がオススメしたい金沢のスポットでした。
時間の都合上、日本庭園で有名な観光地である兼六園には行けなかったのですが、建築学部の先生から金沢まで行ったのに兼六園を見なかったのは惜しいと言われてしまいました。