限界集落で暮らすとは?キャンプ場を復興させた移住者にインタビュー

タビスケ
「限界集落」と聞いて、あなたはどんな風景を思い浮かべますか?

 

限界集落の定義は、65歳以上の人口が50%以上を占める集落のことを指し、集落としての機能がうまく回らず共同生活を送るのが困難な地域のこと。

将来的に消滅する危機があるとされているため、少子高齢化における日本の大きな社会問題となっています。

そんな限界集落に夢を実現するきっかけの場として、岡山県美作市の上山にて「大芦高原キャンプ場」を復興した三宅康太さんにお話をお聞きしました。

限界集落で暮らす移住者の三宅康太さん

こーた

三宅康太さん
1993年香川県生まれ、岡山県育ち。大芦高原キャンプ場 -Oh!Ashi Forest- 代表。学校地域コーディネーター。 岡山県美作市上山地区にて棚田の再生・活用を行う棚田団の一員。 自然体験を通じて暮らしを豊かにする「株式会社にまつわるエトセトラ」の活動として、里山トレッキングのガイドを務める。

金融業から限界集落への移住を決めたきっかけとは

タビスケ
上山に移住する前は、どんなことをしていたのですか?

 

こーた
三宅さん
移住前は金融会社に勤めていました。

勤めていた理由は、「お金に困っている人」や「今の暮らしに不安を抱えている人」の悩みを少しでもなくしたい、みんな楽しく生きてほしいという想いからです。

最初はみんなが金銭的に豊かになればいいと考えていましたが、実際の豊かさとはお金ではないことに気づきました。

上山へ行ったのは、豊かさの本質探しが目的です。

 

タビスケ
上山に来た時は、どんなことを感じましたか?

 

こーた
三宅さん
豊かな暮らしとは何だろうと考えた時、もっと根本にあると思いました。

本来の豊かさとは食べることや水を飲むこと、空気が綺麗であるといったことではないか。

そんな豊かな暮らしができる場所を作りたいと思い、上山に関わる一歩目として耕作放棄地となった棚田の復興支援を始めました。

 

こーた
三宅さん
当初は集落の人たちから、すぐに辞めて地元に帰るのではないかと半分疑われていました。

 

自分なりに「なぜ上山に来たのか」「上山をどう変えていきたいか」を伝え続けることで、前向きな姿勢を気に入ってもらい集落の人たちから認めてもらえました。

活動していく中で少しずつですが、壁があった上山の方々と打ち解けられたのが嬉しかったのを覚えています。

限界集落にある休業状態のキャンプ場を再生

キャンプ場

 

タビスケ
キャンプ場を再生しようとしたのはなぜですか?

 

こーた
三宅さん
「自分の人生このままでいいのか」と悩んだ時がありました。

 

実際に社会へ出て働いてみたからこそ、自分の将来に不安を感じたのだと思います。

本を読んでみたり、悩みをインターネットで調べたり、今まで会ったことがない人や、自分とは違う生き方をしている人に会いに行くことにしました。

いろんな人との交流を通して新しい自分を知り、「自分は上山で人が集まる場所を作りたい」と思ったのがきっかけです。

 

こーた
三宅さん
上山には元々、大芦高原キャンプ場がありましたが、過疎化が原因で休業状態でした。

かろうじて草刈り程度の管理はされていましたが、キャンプ場としての活気はどこにもない状況。

自分自身の夢であったキャンプ場の運営、軸でもある「人が集まる場所づくり」にも当てはまるため、これはいい機会だと再生して運営していくことを決意しました。

 

こーた

 

タビスケ
三宅さんがキャンプ場を運営するうえで大事にしていることはなんですか?

 

こーた
三宅さん
一番大切なことは、自分で考えて動くことだと思います。

 

作る側の自分自身もそう、利用してもらう側も同じで、「いかに自分で考えて動く」かが大事だと考えています。

キャンプ場は主に区画サイトとフリーサイトの2つに分かれています。

区画サイト・・・割り当てられた指定のスペースでキャンプをすること。
フリーサイト・・・広大なスペースの中から好きな場所でキャンプができることをいいます。
こーた
三宅さん
もともと私がくる前の大芦高原キャンプ場は、90個以上の看板が立ち並ぶ区画サイトのみでした。

 

本来のアウトドアは誰と一緒に来ていて、今何がしたくて、そもそも自分は何が好きなのかを考えながら1日の予定を決めるもの。

お客さんに本来のアウトドアを知って欲しいという思いから、すべての看板を撤去、フリーサイトのみにしました。

キャンプ場の中は環境の異なる5つのエリアに分かれているため、どのエリアにするかも含め自分で考えて動き、自分にあったエリアを見つけて欲しいと思います。

 

こーた
三宅さん
自分はこれが好きなんだな、ここが好きなんだな」をキャンプを通して知って欲しいです。

 

知ることで次の行動に繋がり、「次はあのキャンプ場に行こう、次はこういう生活をしてみよう」というきっかけになると思います。

一緒に来た仲間たちと大自然の中で火を囲んで語り明かすことが、人生にとって大きな転換点になって欲しいです。

何かを考えることは自分を知る時間、自分で考えて動いた結果は将来に必ず繋がります。

限界集落と呼ばれていた上山で三宅さんが活動する意味とは

岡山 上山

タビスケ
ここ上山で活動を続ける意味はなんですか?

 

こーた
三宅さん
バブルが弾けた段階で上山は終わりに向かっており、移住者が増えなければそのまま衰退していたかもしれません。

 

本来であれば終わっていたことが、移住者の気まぐれから今も続いているという部分に価値があると思います。

同時に上山と同じような限界集落の復興支援ができたり、キャンプ場の立ち上げに関して相談を受けることがありました。

他の地域で応用できた時、上山で学んだことが生かされているなと感じます。

偶然な人の繋がりこそが上山の魅力であり、上山で活動する意味になっていました。

 

 

タビスケ
これからどうしていきたいですか?

 

こーた
三宅さん
今は「人と自然」をテーマに活動をしているため、人が地球上にいる価値をもっと高めていきたいと考えています。

自然の中で人の価値を高めるために、大事な観点が3つあります。

・農業や作物を作ったり、暮らしを作る場としての自然。
・アウトドアや趣味、楽しい体験を作る場としての自然。
・地震や台風など危険な側面をもつ自然現象としての自然

 

この3つの観点を考えながら、自然と向き合っていきたいと考えています。

キャンプを通して、もっと多くの人に伝えていきたいし、自分でも深掘りしていきたいです。

自然と遊ぶことで人生が楽しくなるのはもちろん、結果的に生活が豊かになると思います。

気軽にアウトドアとして自然のことを知れる場所や体験できる場所を作り、自然と遊ぶことのサポートをしていきたいです。

おわりに

大芦原キャンプ場

タビスケ
限界集落で活動する三宅康太さんに実際にあってインタビューさせていただきました。

 

年間700人程だったキャンプ場の利用者を8,000人まで復興させた三宅さんの作り出すキャンプ場。

自然の豊かさに触れながら新しい自分を見つける場所として、キャンプ場に足を運んでみてはいかがでしょうか。

上山には他にもおもしろく想いを持った移住者がたくさんいます。

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