本記事は、フィリピン旅行中に台風・地震・火山活動・テロ・感染症等の緊急事態に巻き込まれた日本人が、最初の数分から数時間に何をすればよいかを、外務省『フィリピンにおける安全対策(安全の手引き)』をもとに7ステップで整理した実用ガイドです。連絡先・避難の動き方・最低限のタガログ語フレーズまでまとめます。
フィリピンは台風・地震・火山・テロが揃う国

フィリピンは、台風、地震、火山活動等による自然災害の発生も少なくない国です。
直接の被害だけでなく、航空機や船などの交通機関がストップしたり、また電話やインターネットが不通となったりするなど、外部との連絡が寸断され、さらには物資の供給が十分に及ばなくなることもあります(出典:外務省『安全の手引き』)。
加えて、ミンダナオ地方の中部・西部にはイスラム過激派組織やバンサモロ自由戦士(BIFF)等の存在もあり、テロリスクへの備えも必要です。
備えのある旅と備えのない旅では、同じ事態が起きても運命が大きく変わります。
台風シーズン6〜12月:ヨランダ・オデットの記憶

フィリピンには、毎年台風が上陸し、全土が被害を受けています。
2013年11月に観測史上最大級の猛烈な台風30号(フィリピン名:ヨランダ)が東部ビサヤ地方に上陸し、死者・行方不明者約8千人、負傷者約2万9千人を出すなど甚大な被害をもたらしました(出典:外務省『安全の手引き』)。
ミンダナオ地域でも2021年12月に台風22号(フィリピン名:オデット)が横断し、ミンダナオ北部に死者407名の被害をもたらしました。
台風シーズンは8月〜12月頃ですが、それ以外でも大雨や集中豪雨により、道路の冠水、洪水や土砂崩れ等の被害が発生することもあります。
日本気象庁の台風情報、フィリピン国家災害リスク削減管理委員会(ndrrmc.gov.ph)、フィリピン気象庁(pagasa.dost.gov.ph)から最新情報を入手するよう努めてください。
旅行を計画するなら、台風の少ない1月〜5月の乾季がベストシーズンです。
火山活動:ピナトゥボ・タール・カンラオン・マヨンの警戒レベル

マニラ首都圏から北東約100kmにあるピナトゥボ火山が1991年に20世紀最大級と言われる大噴火を起こしました(火砕流等によって死者数百名)。
2013〜14年にルソン島南東部・アルバイ州にあるマヨン火山が噴火して延べ6万5千人以上が避難しました。
2020年1月には、ルソン島南部バタンガス州のタール山で火山活動が活発化し噴火したことから、当局は警戒レベル4(危険な噴火が差し迫った状態)に引き上げ、20万人を超える住民を退避させました(出典:外務省『安全の手引き』)。
2025年8月時点の主な火山の噴火警戒レベルは、レベル2にカンラオン火山(ビサヤ地方ネグロス島北部)、レベル1にタール火山・ブルサン火山・マヨン火山となっています。
タール火山やマヨン火山周辺の観光ツアーに参加する場合は、必ず最新の警戒レベルをフィリピン火山学・地震学研究所(phivolcs.dost.gov.ph)で確認してください。
警戒レベルが2以上の火山には絶対に近づかないようにしましょう。
地震・津波・土砂崩れ:揺れたら頭部保護+避難経路確保

地震もフィリピン国内の広い地域で比較的頻繁に発生しています。
2013年10月にはビサヤ地域ボホール島を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生し、死者・行方不明者230人、負傷者約1千人を出すなど大きな被害をもたらしました。
2023年11月にはミンダナオ地方南東部でマグニチュード6.8の地震が、2023年12月にはミンダナオ地方北東部で、津波を伴うマグニチュード7.4の地震が発生しています(出典:外務省『安全の手引き』)。
地震発生時の対応の基本は、まず頭部を守り、避難路を確保し、一旦揺れが収まったら火の元を確認し、余震・本震に備えてください。
直後は、津波の浸水や、土砂崩れの危険があるため、その地域にお住まいまたは滞在中の方は、速やかに安全な場所に避難してください。
ホテル滞在時は、非常口とロビーまでの最短経路を到着時に必ず確認しておく習慣をつけておきましょう。
テロ:ミンダナオ南部は渡航中止勧告レベル3
フィリピンではミンダナオ地方の中部・西部に、アブ・サヤフ・グループ(ASG)、ダウラ・イスラミヤ(DI)、バンサモロ自由戦士(BIFF)といったイスラム過激派グループが存在しています。
国軍はこれらに対する掃討作戦を実施していますが、テロ活動を行っています(出典:外務省『安全の手引き』)。
ミンダナオ島中・西部など一部地域は、日本政府が危険レベル3「渡航中止勧告」を定めており、観光渡航は控えるべきエリアです。
マニラ首都圏等やその他の地域においても、テロ、その他の事案の発生に注意する必要があります。
外務省海外安全ホームページの危険情報を出発前に必ず確認し、渡航中もたびレジ経由で更新情報を受け取れる体制を整えてください。
過去にダバオ市の爆弾テロ事件(2016年9月)や南ラナオ州マラウィ市のイスラム過激派による市街地占拠事件(2017年5月)が発生しています。
感染症対策:デング熱・マラリア・ジカ熱は蚊対策が命綱

デング熱は年間を通じてフィリピン全土で発生しています。
ネッタイシマカやヒトスジシマカ等に刺されることで感染し、感染すると激しい頭痛、眼球深部の痛み、関節痛や筋肉痛、発疹等が現れ、発熱が5日間ほど続きます。
重症化すると、まれに死亡率が高いデング出血熱やデングショック症候群を発症することもあるので、感染が疑われる場合は速やかに医療機関で受診してください(出典:外務省『安全の手引き』)。
マラリアは、パラワン島、カガヤン峡谷、ミンドロ島、スールー諸島及びミンダナオ島の一部地域において感染例が認められています。
これらの地域、特にパラワン島に2週間以上滞在する場合は、抗マラリア薬の予防内服が有効ですので、事前に専門医に相談してください。
ジカウイルス感染症は、感染しても無症状または軽症で気づきにくいことがありますが、妊娠中に感染すると胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあるため、妊娠中または妊娠が見込まれる方は、流行地域への渡航を可能な限り控えるなど十分な注意が必要です。
防虫対策の基本は、長袖・長ズボン・虫除けスプレー・蚊取りグッズの4点セットです。
緊急連絡先早見表:警察・大使館・邦人保護ホットライン

フィリピンで覚えておきたい緊急連絡先は5つです。
警察緊急番号911、観光警察ホットライン1331、在フィリピン日本国大使館領事班02-8834-7508、邦人保護ホットライン02-8551-5786、外務省海外緊急電話81-3-3580-3311です(出典:外務省/フィリピン国家警察)。
警察911は緊急通報番号で、犯罪・事故・救急のすべてに対応しています。
在フィリピン日本国大使館領事班02-8834-7508は、邦人援護案件全般の窓口で、平日業務時間内が原則です。
時間外の緊急時には、邦人保護ホットライン02-8551-5786から24時間対応可能となっています。
ミンダナオ地方は在ダバオ総領事館、ビサヤ地方は在セブ総領事館がそれぞれ管轄しているため、滞在エリアごとに連絡先を確認しておきましょう。
日本語対応病院とタガログ語フレーズ
マニラでは、マカティメディカルセンター、セントルークス・メディカル・センター、聖ルカ・メディカルセンター、マニラドクターズ病院などが大規模な国際診療部を持ち、日本語対応または英語対応で受診可能です。
セブではセブ・ドクターズ・ホスピタル、チョンファ病院などが主要候補です。
外務省『世界の医療事情』フィリピン版(mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/phili.html)を渡航前に必ず確認し、日本語対応の医療機関を最低1つは把握しておくことが推奨されています。
緊急時に最低限覚えておきたいタガログ語フレーズは3つです。
「Tulungan mo ako(トゥルンガン モ アコ)」は「助けてください」、「Tumawag ng pulis(トゥマワッグ ナン プリス)」は「警察を呼んで」、「Kailangan ko ng doktor(カイランガン コ ナン ドクトール)」は「医者が必要です」です。
英語が広く通じるので、英語の「Help me」「Call the police」「I need a doctor」でも十分通じます。
スマホの翻訳アプリ(Google翻訳)と併用すれば、ほぼすべての緊急場面に対応できます。
まとめ|備えあれば旅は楽になる

フィリピンで緊急事態を生き延びるための心得は3つに集約されます。
第1に、たびレジ登録で大使館からの一次情報を確実に受け取れる体制を作ること。
第2に、警察911・観光警察1331・大使館02-8834-7508・邦人保護02-8551-5786の4番号をスマホメモに登録しておくこと。
第3に、滞在先ごとに日本語対応病院・最寄りの非常口・基本フレーズ3つを最低限把握しておくこと。
フィリピンは台風・地震・火山・テロのリスクと、世界トップクラスの自然・人柄が同居する国です。
備えのある旅は、心理的にも余裕が生まれ、純粋に観光を楽しめる時間を最大化してくれます。
【出典・参考】
外務省『フィリピンにおける安全対策(安全の手引き)』2025年8月、在フィリピン日本国大使館
本記事は上記資料をタビゼミ編集部が独自に要約・再構成した解説コンテンツであり、外務省が作成・監修したものではありません。最新の情報は必ず外務省 海外安全ホームページにてご確認ください。