本記事は、フィリピン旅行で日本人が実際に被害に遭っている詐欺・スリ・強盗の手口10種類を、外務省『フィリピンにおける安全対策(安全の手引き)』をもとに、現地のシーンと防衛動作のセットで整理した防衛マニュアルです。出発前にこの動画を読めば、現地でカモ認定される確率がぐっと下がります。
- 1 フィリピンの治安は日本の3〜4倍リスクという現実
- 2 路上強盗:抵抗すれば発砲される銃器犯罪
- 3 睡眠薬強盗:観光地で老若男女が日本人に近づく4段階の手口
- 4 ショッピングモール・公共交通機関のスリと置き引き
- 5 オートバイひったくり:抵抗せずバッグから手を離すのが鉄則
- 6 物乞いの子供集団スリ:マニラ・セブの繁華街で頻発
- 7 いかさま賭博・美人局・暴行いいがかり詐欺
- 8 流しのタクシーと偽Grab:ぼったくりと拉致のリスク
- 9 車上狙い:「タイヤがパンク」と叫ぶ手口に乗らない
- 10 SNS闇バイト:「運び屋」加担で軟禁・暴行リスク
- 11 機内・空港で日本人を狙う「運び屋」依頼の罠
- 12 フィリピン旅行で被害に遭わないための3つの心得|まとめ
フィリピンの治安は日本の3〜4倍リスクという現実

最初に、フィリピンの治安状況を数字で押さえておきましょう。
外務省『安全の手引き』によれば、2024年のフィリピン全土の犯罪発生件数は約20万件にのぼります。
日本と比較して、強盗・殺人は3倍以上、不同意性交は4倍以上という水準です(出典:フィリピン国家警察PNP/外務省)。
フィリピンでは一般市民も合法的に銃を所持・携行できる制度があり、未登録・密造銃も広く出回っています。
そのため銃器を使った犯罪が日常的に発生しており、抵抗すれば発砲されるリスクが現実にあります。
毎年1〜2件のペースで日本人の殺人被害も報告されているため(2024年1件、2023年2件、2022年2件)、油断は禁物です。
外務省は「フィリピン人社会に溶け込む」「犯罪を誘発する環境を作らない」「他人や確認の難しい話を安易に信用しない」「生命と身体の安全を最優先に考える」の4つを、基本心構えとして挙げています。
ここから先は、その4心構えを動作に落とし込む10手口を見ていきます。
路上強盗:抵抗すれば発砲される銃器犯罪

第1の手口、路上強盗です。
夜間に繁華街を歩行中、2〜3人組の男たちに突然拳銃を突きつけられて金品を要求されるパターンが典型です。
ホテル付近の歩道でも、銃器を持った犯人にバッグを差し出すよう脅迫され、多額の現金が入ったバッグを奪われる事例が報告されています(出典:外務省『安全の手引き』)。
防衛動作はシンプルです。
要求されたら身体を動かさず、口頭で「ポケットに入っている」と伝え、犯人に取らせるかたちが推奨されています。
ポケットやバッグに手を伸ばすと反撃と誤解され攻撃される可能性があるため、絶対に抵抗しない、絶対に逃げ出さないが鉄則です。
夜間の繁華街・人通りの少ない裏道・徒歩での1人歩きは、それだけで犯罪リスクが跳ね上がる導火線になります。
睡眠薬強盗:観光地で老若男女が日本人に近づく4段階の手口

第2の手口、睡眠薬強盗です。
外務省には睡眠薬強盗の被害が、ほぼ毎月、ときには毎週のように報告されており、最も警戒すべき手口の1つです。
犯行は4段階で進みます(出典:外務省『安全の手引き』)。
段階1ではショッピングモール・繁華街・公園・船着き場・観光地で、一見裕福そうな老若男女のフィリピン人が、観光案内を持ちかけたり食堂を尋ねたりするふりで日本人に近づきます。
段階2では「親族が日本にいる」「日本に興味があるので話を聞かせてほしい」「タガログ語を教えるから日本語を教えてほしい」と畳みかけ、日本人の親切心に訴えてきます。
段階3で意気投合したと見るや「一緒に食事をしよう」と誘い出し、犯人の友人と称する車で移動して、レストランや自宅と称する建物で睡眠薬を混入した飲食物をすすめます。
段階4で昏睡させた後、所持品を盗み、キャッシュカード・クレジットカードで現金を引き出すまでがワンセットです。
防衛動作は1つだけ、知り合ったばかりのフィリピン人の家・車・指定レストランに絶対についていかないことです。
ショッピングモール・公共交通機関のスリと置き引き

第3の手口、ショッピングモールと公共交通機関でのスリ・置き引きです。
マニラ首都圏では、スーパーマーケット、ショッピングモール、バス・ジープニー・トライシクル・国鉄・LRT・MRTといった公共交通機関の利用時にスリ被害が多発しています。
ホテルやレストランでの置き引き、特に財布・スマホ・タブレット端末・ウエストポーチ・セカンドバッグの窃盗被害が目立ちます(出典:外務省『安全の手引き』)。
混雑した場所だけでなく、エスカレーターやエレベーター、列車の車両、小売店の通路といった狭い空間での集団による犯行が多いのも特徴です。
防衛動作は3つです、財布をズボンの後ろポケットに入れない、貴重品はファスナー付き内ポケットへ、人前でスマホ・財布をむやみに取り出さない。
ながら歩きは周囲への注意力を一気に下げ、犯行のチャンスを与える行為なので、徹底して避けてください。
オートバイひったくり:抵抗せずバッグから手を離すのが鉄則

第4の手口、オートバイによるひったくりです。
マニラ首都圏を中心に主要都市の繁華街路上で、オートバイ2人乗りによる携行品のひったくり被害が継続的に発生しています。
ひったくられた携行品を手放さなかったために転倒して怪我を負った事例も報告されているため、被害に遭った場合の対応が重要です(出典:外務省『安全の手引き』)。
被害に遭った場合は、身の安全を第一に考え、抵抗せずバッグから手を離すのが鉄則です。
予防策としては、徒歩移動時に車道と対向する側の歩道を選び、車道から離れた位置を歩くこと。
バッグは車道と反対側に持つか、身体の正面で抱えるようにする、リュックは背後からジッパーを開けられたり刃物で切り裂かれたりする事例があるため、混雑した場所では特に注意が必要です。
物乞いの子供集団スリ:マニラ・セブの繁華街で頻発

第5の手口、物乞いの子供集団によるスリです。
マニラ市やセブ市の繁華街で、急に子供たちに取り囲まれ、小銭などをせがまれる場面に遭遇することがあります。
気を取られている隙に、バッグやウエストポーチの中から財布を抜き取られるケースが多数報告されており、比較的高齢の外国人がターゲットにされやすい傾向です(出典:外務省『安全の手引き』)。
さらに怖いのが、子供たちに囲まれて困っているところを助けてくれた親切なフィリピン人の好意に甘え、一緒に食事に行ったところ、睡眠薬強盗の被害に遭ったという報告も寄せられている点です。
防衛動作は2つ、子供集団に囲まれたら無言でその場を素早く離れること、助けてくれた人物の食事の誘いには絶対に乗らないこと。
繁華街でも人通りの多い大通り側を歩き、裏路地に入らないようにするのが基本です。
いかさま賭博・美人局・暴行いいがかり詐欺

第6の手口、いかさま賭博と美人局・暴行いいがかり詐欺です。
睡眠薬強盗と同じ手口で日本人を誘い出し、目覚めたら「暴行された」などと言いがかりをつけて慰謝料を請求するケースが報告されています。
「いかさま賭博」に巻き込んで、多額の現金やスマートフォンをだまし取るパターンも継続的に発生しています(出典:外務省『安全の手引き』)。
売買春に絡む恐喝、いわゆる美人局や詐欺まがいの例に巻き込まれる外国人旅行者は少なくありません。
未成年に対するわいせつ行為や売買春の勧誘・強要は、フィリピン刑法で最高で終身刑が科される可能性があります。
防衛動作は1つだけ、初対面の相手から食事や賭博・売買春への誘いを受けたら、丁寧に断ってその場を離れること。
「自分だけは大丈夫」という思い込みが、最も危険な落とし穴です。
流しのタクシーと偽Grab:ぼったくりと拉致のリスク
第7の手口、流しのタクシーと偽Grab車両によるぼったくりです。
外務省は流しのタクシー利用を極力避けるよう推奨しており、ホテルや店舗で呼んでもらうのが基本です(出典:外務省『安全の手引き』)。
比較的安全とされる配車アプリGrabタクシーであっても、完全には信用しない姿勢が必要とされています。
Grabを使うとしても、乗車前にアプリ表示の車両ナンバー・運転手の顔写真と実車を必ず照合してください。
タクシーを利用する際は、極力複数名で利用するのも基本ルールです。
ジープニー・LRT・MRTなどの公共交通機関は、外務省が利用を極力避けるよう推奨しているため、観光中の移動手段として優先的に検討すべきではありません。
車上狙い:「タイヤがパンク」と叫ぶ手口に乗らない

第8の手口、停車中・走行中の車を狙う車上狙いです。
一時停止中に車に近づいてきて「タイヤがパンクしている」「車から火が出ている」などと叫んで気を引こうとする人物がいたら、絶対にその場で停車しないでください(出典:外務省『安全の手引き』)。
後続車から軽く追突されたケースでも、その場で車から降りずに、人通りのある安全な場所まで移動してから確認するのが鉄則です。
レンタカーや配車アプリ車両でも、車内に荷物(特に貴重品)を残さないようにします。
短時間でもパスポート・現金・クレジットカードが入ったバッグを車内・トランクに残し、奪われる事例が報告されています。
停車中も走行中もドアは必ずロックし、窓も閉めるのが基本です。
SNS闇バイト:「運び屋」加担で軟禁・暴行リスク

第9の手口、SNSで募集される闇バイトを通じた特殊詐欺・運び屋への加担です。
近年フィリピンを含む東南アジアでは、特殊詐欺事件のいわゆる「かけ子」「受け子」として犯罪に加担させられた結果、現地警察に拘束される事案が多発しています(出典:外務省『安全の手引き』)。
「海外で短期間に高収入」「簡単な翻訳作業」といった謳い文句で誘い込まれ、軽い気持ちで渡航した結果、意図せず詐欺犯罪の加害者になるケースが報告されています。
闇バイトに一度加担すると「やめたい」と思っても、パスポートを取り上げられて軟禁状態となり、家族の個人情報をもとに脅迫されます。
組織内のトラブルで暴行を受け重傷を負うリスクすらあります。
防衛動作は1つだけ、SNSで「短期間に高収入」「翻訳作業」「海外で小遣い稼ぎ」といった求人に絶対に応募しないこと。
知らないうちに手荷物に薬物を入れられる「運び屋」のリスクもあるため、空港での手荷物管理も徹底してください。
機内・空港で日本人を狙う「運び屋」依頼の罠

第10の手口、空港・出国時に「運び屋」として利用される依頼です。
出国の際、見知らぬ人物または知り合ったばかりの人物から「○○氏へお土産を持って行って欲しい」などの依頼を受けた場合は、毅然とした態度で断ってください(出典:外務省『安全の手引き』)。
知らない間に手荷物に薬物等を入れられてしまうこともあるため、空港で手荷物から目を離さないことが鉄則です。
フィリピンでは国を挙げて違法薬物対策に取り組んでおり、これまで以上に薬物犯罪の取り締まりが強化されています。
警察によるおとり捜査も実施されており、興味を示した観光客が密売人と思しき人物から薬物を見せられ、これを手にした時点で現行犯逮捕される事例があります。
「ただ実物を見てみたかっただけ」という言い訳は通用しないので、薬物関連の話題には一切関わらないことが鉄則です。
フィリピン旅行で被害に遭わないための3つの心得|まとめ

ここまで10手口を見てきました。
被害を最小化するために押さえる心得は、3つに集約されます。
1つ目は「親しげなフィリピン人の誘いには絶対に乗らない」、知り合ったばかりの相手の家・車・指定レストランへの同行は睡眠薬強盗の入口です。
2つ目は「強盗に襲われたら絶対に抵抗しない」、銃器を所持していると想定し、生命と身体の安全を最優先に考え、口頭で指示通り対応するのが正解です。
3つ目は「現金・カード・パスポートを分散保管する」、財布とスマートフォンは別々に持ち、ズボン後ろポケットには入れない、外出時はパスポートコピーを携行するが原則です。
万が一被害に遭ったら、警察911、観光警察1331、在フィリピン日本国大使館領事班02-8834-7508、邦人保護ホットライン02-8551-5786に通報します。
フィリピンは正しく備えれば、世界トップクラスの自然と人柄に出会える国です。
10手口の引き出しを頭に入れて、安全で記憶に残るフィリピン旅行にしてください。
【出典・参考】
外務省『フィリピンにおける安全対策(安全の手引き)』2025年8月、在フィリピン日本国大使館
本記事は上記資料をタビゼミ編集部が独自に要約・再構成した解説コンテンツであり、外務省が作成・監修したものではありません。最新の情報は必ず外務省 海外安全ホームページにてご確認ください。